引っ越しで運ぶのに苦労する代表格の家財がピアノでしょう。一般の住宅では余程の広い間口や廊下や階段でなければ、人力でピアノを設置するのが難しい場合が多いからです。以前にピアノをクレーンで入れたなら、引っ越しする際にもクレーンを使う可能性が高いです。
立地によってクレーンが横付けできないような難しい状況でも、ピアノ運送の専門業者に任せれば最善の方法で設置できます。
ピアノを持って行く場合の料金相場
電子ピアノなら組み立て式の軽いものが多いため、引っ越し業者のトラックで他の家財と一緒に運んでもらえます。本物のピアノほど奥行きもないため、狭い通路でも2人で容易に運ぶことができます。
しかし、本物のピアノは重量が200キロを超えるものがほとんどで、奥行きもあり幅も広いため、廊下や通路や階段の幅が狭いと、曲がり角をスムーズに曲がれない場合がほとんどです。玄関から上がって正面の部屋に設置するというならまだしも、柱や手すりなどの出っ張りがあるだけで難しいものです。
オプションの相場
ピアノの運送は、少しの移動でも知識と経験のある専門業者に任せるのがベストと考える引っ越し業者は多いです。そのため、規模に限らず多くの引っ越し業者では、信頼のおけるピアノ運送の専門業者と提携サービスをしています。
個人で依頼するよりも安く依頼できたり、引っ越しの依頼と一緒に引っ越し業者に一括して契約することから、窓口が一本化できるなどのメリットもあります。オプション料金も、提携するピアノ運送会社により異なります。しかし、大体の相場は下記に紹介する料金とほぼ同程度になるでしょう。
専門業者に依頼した場合の料金相場
近距離の運送で、最安値では10,000円のところもあります。料金相場は以下のとおりです。
アップライト | グランドピアノ | |
---|---|---|
隣接県 | 13,000円 | 26,000円 |
東京から愛知 | 39,000円 | 65,000円 |
東京から大阪 | 44,000円 | 70,000円 |
東京から札幌 | 70,000円 | 110,000円 |
もっと安いところも見つかるかもしれませんし、特殊作業などが加わればこれよりも高くなります。階段上げ1階ごとに5,000円から10,000円、小型クレーン車の利用で10,000円から、手吊り作業で10,000円から、解体や組み立てが必要なときは30,000円からなどです。
ピアノを持って行く場合の注意点
まず運ぶ前に、生のピアノを問題なく弾ける環境かを確かめるのが先決です。住宅の規約によっては、騒音となりうるピアノや管楽器やドラムの演奏を禁止しているところがあり、当然、運び入れているところを目撃されると問題になります。
また、置き場所によっては床の補強が必要になる場合があるため、事前に確認しておきましょう。消音マットや背板に防音パネルを取り付ける場合は、搬入前の作業が必要なため、ピアノ運送業者とよく相談しておきましょう。
マンションの2階以上に移動させるには?
エレベーターに乗せる際には6人乗り程度のエレベーターでは難しく、9人乗りや荷物用のエレベーターがあればまず大丈夫です。しかしエレベーターに乗せられたとしても、エレベーターを抜けて玄関に向かうまでに、直角のクランクや何らかの障害物があれば運ぶことができません。以上は多くの家庭で多く見られる縦型のアップライトピアノの場合です。
音楽の道を志す人、音楽を仕事にしている人、趣味で長くピアノを続けている人など、住宅環境によってはグランドピアノを所有している人も多いです。コンサートホールなどで使われるような奥行きの長いものではなく、家庭用のグランドピアノはコンパクトなタイプが主流です。
運送する際には下の三本足を外して運ぶため、箱型のアップライトよりも薄くなり扱いやすく、アップライトピアノが幅ギリギリで通った通路や難しいコーナーも、グランドピアノなら楽に通れることがあります。ただ、一般的にはアップライトピアノよりもグランドピアノの運送料金のほうが高い設定になっているところがほとんどです。
階段やエレベーターを使って玄関から入れるのが難しい場合は、トラックにクレーンが付いた小型の車両を使い、できるだけ部屋の窓に近づけ窓枠を外して吊り上げて入れることになります。3階程度でも小型のクレーン車でつり上げて入れることができます。
それよりも高い階に入れるときは、ひと回り大きなクレーン車が必要になります。そのような大きめのクレーン車を利用できるのは、電線やほかの障害物などがない場所や、十分な道幅があり車体を固定できる地面などの条件を満たした場所に限定されます。
入らない場合はどうなるの?
クレーン車を横付けできないような場合は、離れたところから大きめのクレーン車を使って屋根越しに作業することもありますが、ベランダを保護してピアノにロープを掛けて人力で吊り上げたり、チェーンブロックを使って上げ下げしたりする方法もあります。
もしくはピアノ調律師などの技術者が帯同して、ピアノを運べるギリギリの大きさに解体して運び、再度組み立てることで希望の部屋に設置することができます。
設置場所をよく考えて
床の一部に重量がかかってしまうため、置きたい場所によっては床を補強工事したり、補強板などを敷いたりしておくことが必要になる場合があります。また、エアコンの風などが直接当たったり暖房などの近くには設置すべきではありません。水回りの近くも湿気で木材が傷むことがあるため適していません。
ピアノ運送の専門業者なら、どの位置にどのような角度で置くのが適しているかを教えてくれるでしょう。ちょっとした置き場所の違いで演奏者の耳に届く音が違って聞こえるため、練習する環境を整え、音が美しく響く場所に置いてください。
調律が必要になる
ピアノはトラックの荷台に長い間揺られて運送したり、持ち上げて運んだりする際に音が狂いやすくなると言われます。出来立てのピアノも弦を張ってしばらくは音が安定せず、いったん調律しても音程が狂いやすく、安定するまでに時間がかかるケースもあります。
多少の音の狂いなら、ひとりで弾いて楽しむ分には気にならないかもしれませんが、ほかの楽器とのアンサンブルなどをする際は、音のズレが気になる場合も出てくるでしょう。
運送後は調律をしたほうが良いというのは、運送時に音が狂うからというだけではありません。移動後の部屋では同じように弾いても、以前の部屋と同じように音が響かないため、環境に合わせた自分好みの音に、音質を調整してもらうという意味合いが大きいのです。
不要で処分したい場合は?
引っ越し先の住環境の事情でピアノを弾くことができず、止む無く手放さなければならない場合があるかもしれません。今後もピアノを弾きたいのなら、今のピアノを下取りに出して電子ピアノなどに買い替えるケースが多いと思います。電子ピアノならボリュームを調節でき夜間でもヘッドフォンで音を消して演奏者だけに聞こえるように練習できます。
まずは買取業者に相談を
また、引っ越し先にピアノを設置するスペースが無く、処分せざるを得ない場合もあるでしょう。そんなときは今まで現役で使っていた高価なピアノは、ピアノの買取業者に買い取ってもらうのがおすすめです。
ピアノは、調律をしたり、鍵盤や部品を交換してメンテナンスをすれば、新品のように生まれ変わらせることができます。そのような再調整品のピアノの需要は多いため、ピアノ買取業者が喜んで買い取ってくれるでしょう。
日本国内だけでなく海外でもピアノの人気は高く、古いものでも買い手がつくため海外に運ばれることも多いです。特に日本の国産メーカーは、海外でも信頼の厚い上質なピアノが多く人気もあるため、高く買い取ってくれる傾向にあります。
ピアノ買取業者も全国的に有名な大手の業者から、町の小さな楽器店までさまざまな規模がありますが、規模の大小に関係なく買取店によって査定額にかなりの差が出ます。
メーカーと年式と型番で、ある程度の相場はありますが、在庫状況や人気の有無によってピアノの状態に関係なく、よそに買い取られる前に高めに買い取ってくれることもあり、そのときの業者の状況により変動することもあるようです。
せっかくなら買い取りに出す際は、少しでも高く買い取ってもらいたいと思いますよね。運送料も含めたトータルで比較することが大切です。
引越し侍のピアノ買取
引越し侍では、引っ越しの他にピアノの買取業者の一括査定サービスも行っています。
アップライトかグランドピアノかなどのピアノの種類と、ピアノのメーカー名、黒か木目などのピアノの色を選ぶだけで、簡単に無料で大まかな査定額の見積もりが出ます。
もちろん正式に見積もってもらうためには、型番、現状を見てもらう必要がありますが、どんな買取業者が、いくらぐらいの査定をつけるのかを、あらかじめ知ることができるため便利です。簡単に一番高くピアノを買い取ってもらえる業者が見つかるため,ピアノを処分したい人におすすめです。
まとめ
階段幅が広ければ、ピアノ運送のプロは型帯をピアノの両側に掛けて、いとも簡単に2人で担いで運びます。一般住宅でそういうわけにいきませんが、難しい場所でもあの手この手で運び入れてもらえます。その作業風景を見ると、まさに餅は餅屋を実感すると思いますよ。
しかし、しばらく弾く予定がなければ、高額の費用をかけて運んでもらった上、維持するためのメンテナンス費用もかかるため、一度手放して買い取ってもらうことも検討してみましょう。