自分で引っ越しする際のやることとスケジュール(流れ)

引っ越しに慣れている人なら、自力引っ越しをやることになっても今までの知識と経験を活かして準備を進めることができるでしょう。

しかし、引っ越し経験があまりなく、自力で準備の段階から荷造りや重量物の運搬、レンタカーの手配など、すべてに渡って漏れなく計画・実行するのはなかなか難しいものです。どんなことに気をつけて行えばいいのか流れに沿って説明します。

自力引っ越し特有のやること

引っ越しは行き当たりばったりで何とかなるものではありません。まずは事前に通常の引っ越しの段取りをひと通り把握しておく必要があります。一般的な引っ越し準備と重複する部分はここでは省略し、自力でやらなければならない事柄のみ解説します。

日程と作業人員を決める

まず引っ越しの日程を決めなければなりません。手伝ってくれる人たちの空いている日をいくつか聞いておき、自分にとっても、相手にとっても都合の良い日になるよう調整して、候補日の中の最初の日にすると良いでしょう。もし、荒天や病気などで当日が難しい場合は次の候補日に延期することができます。

このように、自分の都合で引っ越し日を決めることができるのが自力引っ越しのメリットの一つです。スケジュールを調整して引っ越し日が確定したら、手伝ってくれる人に正式に頼んでおきましょう。

万が一のことを考えると、当日急に都合が悪くなった場合、ひとりで引っ越しを行うわけにもいかないため、最低でも手伝ってもらいたい人数にプラスしてもう1人に声をかけておくと安心です。

レンタカーの手配

レンタカーは車両によって保有台数が少ないものもあるため、すぐに予約でいっぱいになって借りられない車種もあります。近くの営業所から回送してもらうにしても早めに申し込んでおかなければなりません。

車種選びの注意点

車種を選ぶときは荷物量に見合った大きさの車種を借りるようにしましょう。移動距離が近ければ載せきれなかった荷物を往復して何度かに分けて運ぶこともできます。そうでない場合は時間がかかり過ぎて超過料金が生じるかもしれませんので注意しましょう。

小さめの車両を長めの時間で見積もって借りるのか、大きめの車両で確実に一度ですませるのか、これも重要なポイントです。

予定していた車種が借りられない場合

もし、希望の車種が満車状態であれば、その上のグレードの車種を借りるなどしなければなりません。自宅から近いレンタカー営業所が望ましいですが、できれば借りたい車種と料金を照らし合わせて良さそうなところで申し込みましょう。

特に引っ越しシーズンなどは、希望する車種が満車になってしまうこともあるため、早めに申し込んでおきましょう。場合によっては、早期予約割引などがあるかもしれません。節約のために自力引っ越しを計画したのにレンタル料金の高い車種しか残っていなかったとなってしまっては、自力引っ越しを計画した意味がなくなってしまいますからね。

乗り捨てできるかも要チェック

引っ越し先が遠い場合は、レンタカーを借りる前に必ず乗り捨てできるかどうかを確認してください。借りる車種によっては乗り捨てができないこともあるからです。また、乗り捨て料金がどのくらいかかるかも前もって聞いておきましょう。

ほとんどのレンタカー会社のホームページで、借りる営業所と返却予定の営業所や地域を入力することにより、乗り捨て料金が分かると思います。遠方での乗り捨て料金が予想外にかかる場合は、手伝いにきてくれた人に元の営業所まで乗って帰ってもらうのか、その辺も含めてあらかじめ計画しておくべきです。

長時間の運転後に引っ越し作業の重労働を終えて、レンタル時間内に返却するために再び長時間の運転をしてもらうのも気の毒です。失礼のないように段取りをきちんと計画しておくべきでしょう。

当日の流れを確認しておく

レンタカーさえ借りれば後は荷物を運ぶだけ、と漠然と考えていたのでは失敗してしまいます。まずは引っ越しの段取りを思いつくままに書き出してみましょう。

頭の中で考えているだけでは、見えなかった流れが整理しやすくなり、足りなかった部分も補うことができます。自分では分からないあやふやな部分も前もって調べておくことができます。

昼食の計画も頭に入れておき、知らない土地でお店をあちこち探し回る時間を省きましょう。あらかじめインターネットでおいしそうなお店の候補を何件かピックアップしておくとよいです。レンタカーのトラックで出かける場合は駐車場が広いところが安心です。

雨対策について

週間天気予報を見て引っ越し当日に雨マークが付いていた場合はどうしたら良いでしょう。
賃貸物件の契約上どうしても退去しなければならないときは雨の中でも決行しなければなりません。

手伝ってくれる人たちには雨でも延期しないことを事前に伝えておき、レインコートや滑らない靴などの雨対策をしてもらいましょう。帰りの着替えも用意したほうが安心です。

大きめのビニールを用意

洋服や書類など濡れて困るものはダンボールの中に大きなビニール袋を広げておき、その中に入れてください。ダンボールを丸ごと特大のビニール袋で包んだのでは、持ち運びの時にビニールが破れる原因になり、積み重ねるにも適していません。

トラックの荷台を覆うシートも必須

雨の日に天井のない平ボディのトラックに積み込む際は、荷物を濡らさないためにシートか幌が必要になります。雨風の強いときは雨が吹き込まないようにきっちりガードして、運転中に風圧でシートがめくれ上がらないようにロープでしっかりと固定しなければなりません。

雨天でも慌てずに

雨の中の作業は手が滑ったり、作業をする人も荷物も濡れたりして、かなり困難な作業が予想されます。慌てて適当にすませると、荷崩れして道路に荷物を落下させることにもなりかねません。落ち着いて対処してください。道路上の落下物は他車の事故を誘発してしまいとても危険です。

手伝ってくれた人への謝礼

家族が手伝ってくれるなら特別なお礼は必要ないと思いますが、友人や職場の同僚などの場合は何かの形でお礼をするべきでしょう。他の用事があったかもしれないのに、その日を引っ越しの手伝いのために空けて重労働を手伝ってくれるのですから。

作業中の休憩時の飲み物や昼食代、移動のための交通費、謝礼の現金、引っ越し後の打ち上げなど、どのような形でお礼をすべきか考えておいてください。自分が思っていたよりも大変な重労働だったと感じたなら多めに謝礼の現金を包んだほうが良いでしょう。

自力引っ越しする際の注意点

引っ越し業者に依頼せずに、節約して自力で引っ越しをしようと思ったのですから、プロのような完璧な引っ越しを目指す必要はありません。しかし、最低でも気をつけるべき注意点がいくつかありますので説明します。

建物の養生

柱や壁など、荷物を運ぶときに傷を付けそうな箇所に、あらかじめダンボールや緩衝材などで保護をしておくことをおすすめします。自分の家具の破損よりも建物の修繕費の方が高くつく場合があります。自力引っ越しの場合は、引っ越し業者に頼む場合と違い保険が利きませんので自分で用心しておくことが大切です。

家電の扱い方

冷蔵庫や洗濯機の水抜きも事前に行い、他の荷物を濡らさないように気をつけましょう。
大きな重たい電化製品を運ぶ際には、壊れたり傷つけたりしないために、運ぶ際に手をかけるべき場所があらかじめ決まっています。

天地が逆だと故障の原因

冷蔵庫や洗濯機、どちらもトラックに横倒しにしたままで運んでは壊れてしまいますので、必ず天地が逆にならないよう確認して縦に固定して運びましょう。引っ越しの際の運搬方法などが取扱説明書にきちんと紹介されていますので、事前に必ず目を通しておくようにしましょう。

うっかり持ち出しそうな設備の備品

洗濯機の排水ホースを外したときに、排水口と接続するL字型のエルボといわれる固定器具は、洗濯機に付いていたものではなく、その住宅に最初から付いていた設備ですから間違って持って行かないように気をつけてください。

洗濯機は特に慎重に設置

洗濯機は必ず水平になるように調整して設置しないと、モーターが傷み修理が必要になってしまうため、取扱説明書を見て必ず正しく設置するように気を付けましょう。また、給水ホースや排水ホースを正しく固定して設置しないと、水が漏れて階下に被害を及ぼしてしまいますのでくれぐれも注意してください。

荷物の積み込み方

トラックの荷台に荷物を積み込む際にも、無計画に目に付いたものからどんどんと積み込んでしまっては失敗します。本来なら荷台の手前に大型の荷物を積んで、部屋が空っぽな状態で大型の荷物を先に搬入します。

しかし、平ボディのトラックの運転に不慣れな人は、それでは危険です。大きく重いものはなるべく運転席に近い側、つまり荷台の奥の方に置いたほうが、運転中の前後左右の揺れに対して比較的安定します。

できれば周囲に背の高い家具を配置して、ダンボールなどの細々とした荷物を中に置くようにすれば、万一荷崩れがあっても荷物を道路上に散乱させるのを防げます。特に高速道路走行中に荷物を落下させると大事故に直結します。充分に留意してください。

レンタカー返却の規定

レンタカー会社で24時間営業の店舗なら何時に返しても超過料金さえ払えば何とかなりますが、そうでない場合は営業時間内に返却するしかありません。そのために、スピードを出して運転を急ぐのは危険なため、中距離以上の引っ越しで時間が確定できない場合は、念のため翌日分までレンタルしておいた方が気分的に安心できるかもしれません。

少しくらいの超過なら大丈夫なときと、引っ越しシーズンでトラックの需要が多く確実に時間通りに返却しなければいけないときなど、そのときの状況によってさまざまです。必ず事前に規約をよく確認し、決められたルールを守ってください。

まとめ

最後に、段取りを整理して書き出した後、それらについてどのくらいの費用がかかるのか付け加えて書いてみてください。その金額を合計するとどの程度になったでしょうか。当初想像していた金額よりも高くなり、こんなにかかるとは思わなかったという人も多いです。

念のため、引っ越しの一括見積もりサイトで、業者に依頼した場合の引っ越しがどの程度の費用でできるのかを確かめてみるのも良いかもしれません。何が何でも自力引っ越しのほうが安いに決まっている、と確信を持ってやる人のなかには、実際の引っ越し業者に頼んだ費用がどのくらいかかるかを知らずに実行している人も多いようです。

自力引っ越しを経験した人は、こんなに大変だとは思わなかった、二度とやりたくない、業者に頼んだ場合と費用が変わらなかった、という感想もあります。ぜひ、費用対効果で考えてみてください。