自力引っ越しで傷をつけずに荷物の搬出や搬入を行うコツ

引っ越し業者に頼まずに自分で引っ越しをすることを「自力引っ越し」といいます。うまくいけば低料金ですませることができますが、問題は「大きな家具や家電、重たいもの」の運搬です。重さに耐えきれず落とした、足元が見えない、壁を傷つけた、腰を痛めたなど素人ならではのトラブルが付きものです。

そこで、素人でもできる運搬方法を知り、なるべく労力をかけずに引っ越しをすませられるコツを紹介します。

荷物の搬出や搬入をスムーズに行うために必要なもの

安い家具や家電だから多少傷がついても大丈夫、と保護をしないままで運んでしまうと、うっかり家具や家電の角で賃貸物件の壁や床を傷つけてしまうことがあります。

せっかく引っ越し費用の節約のために自力引っ越しを決意したのに、傷の修繕に高い費用がかかってしまい本末転倒になってしまいます。そんな失敗を防ぐためにも事前の入念な準備は大切です。

メジャー

引っ越しではメジャーは用意しておいたほうが良いものの一つです。事前に新居の窓の大きさを測り必要なカーテンサイズを見極めたり、家具のサイズを測ってレイアウトを考えたりする際には欠かせません。引っ越しのときにも通路や階段が狭い場合はメジャーでどの程度の幅か測ることができます。

大きな家具を通せるかどうかの目安として、余裕が10cm程度あればギリギリ運べます。それが厳しいようであれば、あらかじめ分解しておくなどの準備ができます。

また、通路や廊下を通すのが難しい場合は、ベランダや庭に面した大きな掃き出し窓のある側から入れたほうが良い場合もあります。メジャーがあれば一か八かやってみて失敗するよりも早くに決断ができるでしょう。

2m以上の金属製のものが、長い場所でも1人で測れて巻き戻しもスムーズなため便利です。100円ショップにもありますが、もう少ししっかりしたものがホームセンターや通販でも1,000円以内で購入できます。

滑り止め手袋

引っ越し業者のスタッフは皆同じユニフォームを着ていても、手袋は自分の好みに合わせてさまざまなタイプを使っています。グリップ力のあるものや通気性の良いもの、フィット感の良いものなど各人のこだわりがあるようです。

手指を保護するのはもちろん、滑り止めが付いている手袋は重いものを持つときにしっかりしたホールド感があり、素手で持つより軽く感じられ、あるとないとでは大違いです。

自力引っ越しの場合はプロ仕様の高いものは必要ありませんが、普及品なら一双1,000円前後で購入できます。100円ショップでも軍手にゴムの突起が付いているものがありますし、コンビニで見かけることもあります。S、M、Lとサイズ別に分かれていますので自分にしっくりくるものを選びましょう。

養生用の毛布

古毛布は家具や家電を保護したりクッション材代わりにしたりと、何かと重宝する養生資材になります。家具の角で建物などを傷つけないように覆ったり、パソコンの液晶モニターやテレビの画面を覆ったり、ホコリや汚れから守ったりするときにも使えます。

また、毛布の上に重たいものを乗せて倒れないように毛布ごと引きずって運ぶ方法もあります。畳やフローリングなど平らな面に傷をつけることなくわずかな力で移動できます。

養生用のダンボール

引っ越し業者では巻きダンボールやプラスチックダンボールなどを用いて、エレベーターや廊下や壁などに傷をつけないために広く養生してくれます。それを個人でやろうとするとかなりの出費になってしまいます。

そのためダンボールを平らにつぶしたり切り開いたりして、要所要所に限定して貼り付けておくと良いでしょう。曲がり角や出っ張り、家具を通すのがギリギリになりそうなとこにあらかじめ、粘着力が弱く剥がしたあとに糊残りのない養生用のテープでダンボールを貼り付けておくのです。

そうすることで気持ちにも安心感が生まれ疲労度合いも違ってきます。トラックで運ぶ際にも、家具と家具の隙間にクッション材として挟むことができます。

台車

トラックから玄関先までが長い場合、エレベーターから玄関までの通路が長い場合などは台車があると助かります。大きな重たいものを運ぶ際にも、ダンボールを積み重ねて運ぶ際にも重宝します。ただし、段差のない真っ平らなところに限ります。使う場面が多そうなら、レンタカー会社でトラックを借りる時にオプションで台車も借りるのがおすすめです。

荷物の搬出や搬入する際の注意点

自力引っ越しは本来なら大型の家具や家電がなく、重たいものもなく、2人程度で難なく運べる小型の荷物の引っ越しの場合のみおすすめできます。

しかし、何とかして自力でやりたい、ということなら家具のレイアウトを見直したり、手伝ってもらう人を増やしたりして対応できる場合があります。あらかじめどんなことに注意が必要かを知っておけば対策も立てやすくなります。

搬出や搬入する場所を確認

一戸建てなら道路に面した部屋に掃き出し窓があれば、窓を全て外して広く開放してから、大きなものを一気に運ぶ方法があります。大きな三人がけのソファなどは、背もたれと座面が広く角度のあるものは、なかなかドアを通すことができません。玄関と反対の庭のフェンスを越えてリビングの窓から入れるのも一つの手です。

特に壁面収納などの高さのある家具は要注意です。玄関から斜めに搬入できても、室内の廊下のコーナーが曲がれなかったり、途中に柱や梁の出っ張りがあったりすると一直線では通すことができず、角度を変えて少しずつ進めたり戻ったりしてようやく入ることがあります。

階段を使うケース

マンションやアパートの階段の場合は、その形状によって作業のし易さに大きく関わってきます。真っすぐの一方向なのか、折り返しのある階段なのか、階段幅や踊り場の奥行きによっても難易度が変わります。

手すりの出っ張りや階段の頭上の高さにも気を付けなければなりません。それによってどの程度家具や家電を傾けるか、場合によっては人手を増やす必要があります。一戸建ての室内の階段も形状によって難易度がかなり違います。うっかりすると家具の角で壁紙をこすってしまうことが多いため、しっかりと養生しておきましょう。

幅の広いベッドマットが階段を通らず、吊り上げることもできず、予定していた部屋とは別の1階の部屋を寝室にすることもあるようです。幅の広いスライド式の本棚を階段の頭上の天井にこすってしまったということもあるため、分解して運ぶか他の部屋に置くのか事前に考えておきましょう。

家電の運搬による故障に注意

白物家電と呼ばれる冷蔵庫と洗濯機は大きい上に重たく、買うと高価なものです。絶対に傷をつけたり壊したりせずに無事に運ぶことを心がけてください。霜取りや水抜きは取扱説明書に記載のある方法でしっかりと行っておかないと、移動中に他の荷物を濡らしてしまいます。

取扱説明書で確認すべき点は他にもあります。移動の際にどこを持ってどのように運べば良いかが図解してありますので、必ず確認しておきましょう。多くの冷蔵庫は横にせず立てて運ぶこととか、洗濯機は水平に移動することなどの注意書きがあるはずです。

特に洗濯機は設置の仕方がまずい場合、少しでも回転の軸がずれるとうまく洗濯槽が回らず異音がして、ひどいときは修理できない状態になってしまいますので、くれぐれも気を付けてください。

まとめ

引っ越し当日の作業のひと通りの流れをシミュレーションしてみてください。自力引っ越しがなかなかにハードルが高いと判断したら、無理せずに大型家財の一部だけでも業者に依頼する方法もあります。

節約しようとして計画した自力引っ越しが、少しのトラブルで引っ越し業者に頼む料金よりも高くついてしまうかもしれません。そこまでのリスクを負って完遂したいかどうか今一度検討してみましょう。