自分で購入したまだまだ使えるエアコンなら、引っ越しの際には取り外して持って行きたいですよね。室内のエアコン本体を取り外して、外の室外機と一緒に新居に運びますが、運ぶのは引っ越し業者がやってくれても、エアコンの取付工事は電気工事士の資格を持つ業者にやってもらわなければなりません。
そうなると、引っ越し業者のオプションを利用するか、それとは別に電気工事業者に頼むことになりますので、以下の料金相場や注意点を参考にしてください。
エアコンを持って行く場合の料金相場
エアコンを取り外したあとは引っ越し業者がきちんと梱包して運んでくれますので、引っ越し料金の中に含まれています。ただ、エアコンを故障しないように無事に取り外すのと、取り付けて安全に使えるようにするために、技術者に頼むことになります。
下記で、 引っ越し業者のオプションを利用する場合と、電気工事業者に依頼する場合の概算の料金例を紹介します。ただし一律料金ではなく、設置する場所や工事の内容によってかなり異なります。
オプション料金の相場
引っ越し業者にエアコン移設のオプションサービスを依頼した場合は、旧居のエアコンの取り外しに1台あたり5,000円から15,000円程度、新居の取り付けに1台あたり15,000円から25,000円程度になるでしょう。
同じ引っ越し業者でも、エアコンの能力や年式、室外機の置き場所によっても料金は変わります。コンセントの工事や穴あけ工事、部品代などで追加料金がかかることもあります。
電気屋に依頼した場合の料金相場
電気工事業者に依頼するエアコンの移設料金も、冷暖房能力により何段階かに分かれていることが多いです。取り外しは1台あたり4,000円から10,000円程度で、室外機の置いてある場所の作業の危険度により料金が高くなっています。
取付工事は1台あたり10,000円から20,000円程度、それ以外にコンセント設置やブレーカー交換などの追加工事が必要な場合は追加料金がかかります。取り外しと取り付け一式を依頼することにより、割引サービスで提供している電気工事業者もあるようです。
処分する際の費用相場
エアコンは家電リサイクル法（特定家庭用機器再商品化法）で指定されている対象機器のため、粗大ゴミや不燃ゴミとして自治体のゴミ回収日に処分してもらうことはできません。
壊れていて使えないものでも、製造元のメーカーに送って本体から使える素材を取り出して資源を有効利用して再製品化します。このように廃棄処理困難物の減量化、資源の有効利用を目的とした法律が家電リサイクル法です。
この法律ではエアコンの他に、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目が指定されています。これらを処分する際は、リサイクル料金と引き取りの際の運搬料金がかかりますが、自分で指定引取場所に持ち込みができれば運搬料金はかかりません。
基本的には、エアコンを処分するときは購入した店舗が責任を持って回収するように定められていますが、遠方に引っ越したりすでに店舗がなかったりする場合は自治体で決められた業者に回収してもらうことになります。自治体の家電リサイクル対応窓口に問い合わせましょう。
回収や運搬料金は業者ごとに異なりますが、リサイクル料金はメーカーの型番ごとに異なります。料金の支払い方法は回収業者で異なるため、回収申込時によく聞いておいてください。
リサイクル料金はこちらでメーカー名や品目で絞り込み検索ができます。
※参照URL：一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター 再商品化等料金一覧（家電リサイクル料金）
http://www.rkc.aeha.or.jp/guide/recycle_price.html
エアコンを新居に持って行く際の注意点
今使っているエアコンを取り外して新居に持って行く場合は、引っ越し先で問題なく使えるかどうかを考えるべきです。どういうことに注意が必要か説明します。
自分で取り外しや取り付けできるの？
部屋の高い位置に取り付ける電化製品ですから、何か問題がおきた時に故障する危険性もあるため、自分で取り外したり取り付けたりするのはおすすめできませんが、念のためどのような工程なのか紹介します。
エアコンの取り外し方法
室外機のカバーを外し、送る側と受ける側のバルブキャップを外します。室内機と配管パイプに残っているフロンガスが漏れないように室外機に送り出すため、エアコンの冷房運転をします。
送る側のバルブを閉めて3分程度待ってから、受ける側のバルブも閉めた後エアコンの運転を停止します。これで室外機にフロンガスを送るポンプダウンができます。電源プラグを抜き、外したバルブキャップをはめて締めます。
配管を外しますが、万一ガス漏れの音がしたら再度ポンプダウンをやり直します。配管がナットから外れたら電源コードを切断します。感電しないように気を付けてください。室外機と室内機を撤去しますが、水が漏れて流れ出ることがあるため周囲を養生しておきます。
コードやパイプは本体から1m以上残して切断します。配管の穴はエアコンキャップでふさいでおきます。コードなどを束ねて本体に養生テープでリモコンと一緒に留めておくと便利です。あとの梱包は引っ越し業者が運びやすいようにまとめてくれるでしょう。
エアコンの取り付け方法
壁に配管用の穴が空いていなければ穴を開け、背面板を取り付けます。室外機に配管を取り付け設置し、十分に真空乾燥させた後、配線を接続して試運転します。
簡単に説明しましたが、詳しく記載したところで特別な工具を持たず知識のない素人が行える工事ではありません。簡単な設置ならそう手数料もかかりませんが、難しい技術だからこそ、それなりの取付工事費用がかかるのだと考えましょう。
ただし、業者の中には依頼者が何も知らないことをいいことに工事費用や部品代を水増しして請求する利益優先のところもあるため要注意です。
上記で紹介した料金相場を知っていれば、あまりに高額過ぎる請求は怪しいと思うはずです。念のため、着工前の問い合わせで、どんな作業が必要になり、どのくらいの料金がかかるのかを見積もってもらった方が安心です。概算を教えてくれて、部品代でこの程度かかるかもしれない、とあらかじめ伝えてくれる業者に依頼しましょう。
部屋の広さはエアコンの能力に合っているか
新居でエアコンを取り付けたい部屋が今と同じ程度の広さか、それよりも狭い部屋なら問題ありません。しかし、今以上に広い部屋に取り付けるというときは注意が必要です。エアコンを購入する時に、鉄筋何畳・木造何畳というエアコン能力の目安があり、設置したい部屋に合致した能力の機種を選んだはずです。
適した広さには若干の幅がありますが、南向きか北向きか、設置する階数、窓の大きさなどの諸条件によっては今と同等の運転効果が得られずに、「もう寿命なのかエアコンの効きが悪くなった」と感じる人もいます。もちろん北海道と九州では夏の暑さも冬の寒さも違います。
エアコンの効きが悪いのは、電気工事業者の設置ミスやエアコンの寿命・故障などではなく、単に冷暖房能力がその部屋に見合っていないことが原因かもしれません。エアコンの能力に見合わない広い部屋でフルパワーで運転を続ければ、適温になるまでに電気代も時間もかかってしまいます。そんな運転が長時間続けば、エアコンの寿命にも関わるでしょう。
それなら、広い部屋にはエアコンを新規で購入することにして、今のエアコンは処分するか今よりも狭い部屋に設置した方が良いです。長い目でみればその方が節約になるのではないでしょうか。
買い替えた方が安いケースも
上と似たケースになりますが、年式が古く内部が汚れたエアコンを引っ越し先でそのまま使うのは、ますます性能が劣って十分な運転能力が発揮できません。
もともと本体代が安いエアコンなら、内部クリーニングのためにお金をかけるのもためらわれるかもしれません。それならいっそのこと、引っ越し先で最新式のエアコンに買い替えたほうが安くすむ場合があります。
昔よりも最近のエアコンは省エネ効果が高く電気代も安くすみますし、何よりもエアコンを購入したときは設置費用がサービスになったり格安になったりすることが多いからです。新居の広さに適した最近のエアコンがどのくらいの価格になっているか、一度調べてみることをおすすめします。
シーズンオフなら今持っているエアコンよりも十分に性能の良い型落ちのものが格安で購入できるかもしれませんよ。
まとめ
引っ越し先が遠方の場合は、新居の近くの電気工事業者を探して取り付けを依頼することになりますが、それなら引っ越し業者のオプションでエアコン移設をまとめて頼めば手間はかかりません。料金的にも、引っ越し業者のオプションでも、自分で電気工事業者に頼んでも、そう金額は変わらないと思います。
それに、引っ越し業者は運送業として国の許可を得て営業しているため、実績があり信頼のおける電気工事業者に発注しているはずですので、自分で知らない業者に頼むよりは安心できそうです。
