引っ越しで不動産業者への連絡はいつまでにすればいい?

引っ越しを決めた場合、まずは不動産業者に連絡をすることになります。その際、いつまでに連絡をすればよいのでしょうか。また、その時にはどんな手続きが必要になるのでしょうか。引っ越しでの不動産業者への連絡や手続きについて紹介します。

なるべく避けたい二重家賃

賃貸住宅から賃貸住宅に引っ越す場合、一番避けたいのは引っ越し先の新居の家賃にプラスして、住んでもいない旧居の家賃も払い続ける「二重家賃」です。引っ越しは何かと物入りですからただでさえ金欠気味になるのに家賃2軒分はかなり痛いですよね。

この二重家賃を払わなければいけないのか払わなくてもいいのかは、基本的に賃貸住宅に入る時に交わした契約と、大家さんの人間性、そして引っ越すことを管理会社に連絡した時期次第です。できれば旧居の支払いが終わった翌月からスムーズに新居の支払いが始まるのが美しいのですが、なかなかそううまくはいきません。

経済的なロスはなるべく最小限にしましょう。

契約書をチェックする

引っ越しをしようと決めたらなるべく早く不動産業者に一報を入れます。なぜなら、自分が出た後にその部屋をまた別の人に貸し出すために大家さんと不動産業者はリフォームや清掃をしたり、広告を出したりしなければいけないからです。

今日言って明日出ていくというわけにはいかないのです。その際、別に〇月×日に引っ越しますと具体的に日付まで言う必要はありません。自分のスケジュールの都合もありますし、引っ越し業者によっては日にちによって値段がかなり違うこともあるので、引っ越しを決めた段階では具体的な引っ越しの日時までは決めていない場合がほとんどでしょう。

「来月末頃引っ越します」とか「3月に引っ越します」など、ある程度の目安で大丈夫です。

賃貸で部屋を借りているのであれば、契約書がありますよね。その契約書はとても大切なものですから大事にとってあることでしょう。まずはそれをチェックしてください。

契約書でチェックすること

賃貸契約書には、解約予告期間とどこに連絡をすればいいのかが書いてあります。ここで重要なのは、解約予告期間です。

解約予告期間とは、実際に解約をする〇日前までに知らせてくださいという決まりです、一般的には解約の1か月前ということが多いですが、中には2か月前とかあるいはもっと長い解約予告期間がある契約もあるかもしれません。

自分が署名捺印した契約書がある以上、その契約書に書かれていることがすべてに優先するので、もし「引っ越しは2か月前に通告すること」と書いてあれば、たとえ自分が1か月後に引っ越しをしたとしても、住んでいない部屋にあと1か月分の家賃を払わなければいけません。

人気の物件ですぐに次の入居者が待っているなんていうケースは強引にお願いしたら支払いを免除してくれることもないこともないでしょうが、それはイレギュラー中のイレギュラーな例で、基本的には支払い義務が生じます。だからなるべく連絡は早いほうがお互いのためにいいのです。

引っ越し月の家賃はどう払う?

それともう一つ契約書でチェックするのが、退去月の家賃の払い方です。たとえば3月10日に退居の場合、「日割り計算」なら、毎月の家賃の3分の1ですみますが、1か月分払うという契約の場合もあります。

その場合はなるべく月末に引っ越したほうがお得ですね。

ゼロゼロ、フリーレント物件は要注意

一般的に部屋を借りる時には敷金や礼金、前家賃でまとまったお金が必要です。当座のお金がない人には敷金礼金が無料の通称ゼロゼロだったり、最初の数か月は家賃が無料だったりといった物件が人気です。

いいことづくめのようですが、こういった物件に住んでいる場合は要注意です。大家さんも人助けで部屋を無償で提供しているわけではありません。ゼロゼロ物件やフリーレントの特約をつけるということは、その部屋が人気薄でそうまでしないと入居希望者が現れないからです。

ゼロゼロやフリーレントの特約とセットで「短期解約違約金」という特約がついているのが普通です。これは通常1年〜2年その部屋を借りるという契約で、もしその途中で契約解除して引っ越したい場合には違約金が生じます。

多くの場合は家賃の2か月分程度以上ですから、せっかくのゼロゼロやフリーレントのメリットはほぼ相殺されると考えていいでしょう。

更新月の引っ越しについて

賃貸住宅の契約は多くの場合2年ごとの更新になっています。更新の時期になると管理会社が更新するかどうか意思の確認に訪ねてくることも多いですね。更新料は家賃の1か月分から2か月分のことが多く、多くの人がこのタイミングで引っ越しを考えるのではないでしょうか。

もし、管理会社から尋ねられたらその時に引っ越したい旨を伝えれば、一番すんなりいくと思います。

更新後すぐの引っ越しは?

更新後すぐに引っ越す予定が更新前にわかっていたら、そこは管理会社や大家さんに相談してみる余地があります。1か月程度なら更新料を免除してくれたり、安くしてくれるかもしれません。大家さんの人間性と信頼関係によるところが大きいですね。それまで家賃の滞納もなく、関係が良好なら「1か月くらいはいいですよ」と言ってくれるかもしれません。

しかしこれはあくまでも希望的観測です。実際は火災保険の契約などもあり、更新は更新でしっかりしてくださいと言われることのほうが多いでしょう。

引っ越しのタイミングを考える

引っ越し費用は、旧居からの退去、新居への入居、そして引っ越し業者への支払いなど、すべてトータルで考えましょう。たとえば旧居がちょうど契約更新のタイミングになるが、新居が1か月先まで空かないという場合には、更新料や保険料を払うよりはタイムラグの1か月を別の場所で過ごすという手もあります。

荷物はトランクルームに預けて自分はその間実家に帰るとか、友だちの家に転がり込む、ホテルやマンスリーマンションを利用するほうが結果的にかなり安くなるなら、考慮する余地はあります。

通告から引っ越しまで

契約書の規定通り1か月前に引っ越しの通告をすると、立ち合いがあります。賃貸住宅に入居したら、ものを壊したり自分の不注意で部屋を汚したりした分は「元に戻して返す」という原状回復の義務があるので、借りる前と比べてどこか変わっていないか、借り手と貸し手双方が立ち会った上で確かめていくのです。

原状回復の費用は敷金から引かれることになり、思ったよりも多く引かれて愕然とした経験がある人も多いでしょう。日本も法律が変わって基本的に敷金は全額返金される原則にはなっていますが、押しが強いほうが勝ちのような不透明な部分もまだあります。

たとえば壁紙の日光による変色や畳のささくれなど、普通に生活をしていれば劣化するようなものは原状回復の必要はありません。これについてはできる限り調べて知識を入れ、払う必要がないと思えばはっきりと主張すべきだと思います。

この頃には次に住む新居も決まっていることでしょう。引っ越し業者の手配や荷造り、各方面での手続き連絡などで忙しいと思いますが、管理会社に敷金の返還の際の振込先や新居の連絡先などを教えます。引っ越しの日取りが決まったらこれも忘れずに連絡しましょう。

それまでの大家さんや管理会社との関係性にもよりますが、「立つ鳥跡を濁さず」で、簡単な手土産を持って一応挨拶とこれまでのお礼には行ったほうがいいと思います。大人として当然と言えば当然のことですね。

何かと忙しい引っ越しですが、契約と管理会社に言うタイミングで下手をすると数十万円の差額が出てしまうので、きちんと契約書は確認しましょう。