ダンボールの強度を上げて底抜けを防ぐガムテープの貼り方

引っ越しの荷造りの際にまず欠かせないものと言えばダンボール箱。そしてそのダンボールに封をしたり補強をしたりするのがガムテープです。

「おまかせパック」のように梱包を全てプロにやってもらうのならともかく、自力で引っ越しをするのなら、底抜けで困ったりしないよう、正しいガムテープの貼り方をマスターしておきましょう。適当に貼ってしまうのは思わぬ事故の元です。

今回はテープの種類や用途の違い、貼り方の注意点などを紹介します。

まずはテープについて知っておこう

一口にガムテープといってもいろいろな種類があります。用途にあったものを選ばないとダンボールの底が抜けてしまうかもしれません。

クラフトテープ

100円均一ショップでよく見る茶色くて表面がすべすべしている紙製のテープです。安価でどこにでも手に入るので、広く使われています。ホームセンターなどではまとめて安く売っていることもあり、これだけあれば大丈夫だと思う人もいますが、実はクラフトテープにはいくつかの弱点があります。

クラフトテープの特徴

安価で指でも切りやすく、荷造りに慣れていない人でも使いやすいクラフトテープですが、表面がつるつるしているので、重ね貼りができません。本や食器などの重いものやパソコンなど大事なものを入れた箱をテープで補強するのには不向きです。

また、つるつるしているためにテープの上に文字が書けないほか、濡れるとすべりやすく、はがした時に薄く紙がはがれて残ってしまう可能性があるのもやっかいです。

クラフトテープの用途

強度に不安があるため、洋服や布類など、軽いものを入れたダンボールに向いています。安価なので、軽くて底抜けの心配がない荷物であれば節約のためにクラフトテープを使うのが賢いでしょう。

布テープ

布テープはその名の通り、繊維でできています。また、クラフトテープほどではありませんが、大人なら指でも切れるので扱いやすいテープです。ただし、価格はクラフトテープに比べると割高なので、引っ越しの梱包を全部これでやろうと思うとちょっともったいない気がします。

また、長期にわたって貼りっぱなしにしているとべたべたが箱のほうに残ってしまうおそれがあるので、基本的に引っ越しが終わったらはがします。

布テープの用途

クラフトテープに比べると段違いの強度があるため、底が抜けたら困るような大事なものや重いものが入っている場合は必ずクラフトテープではなくこれを使いましょう。テープの上に文字が書けるので、割れ物が入っている箱は赤マジックで大きく「ワレモノ」とすべての面に書くことができます。

梱包テープ(OPPテープ)

クラフトテープは値段が安いけれども強度が十分ではない。布テープは強いが値段が高い。この二つのちょうど中間をとったようなテープが梱包テープ(OPPテープ)です。感覚的にはぶ厚いセロハンテープのような感じです。

ポリプロピレンでできており、強度があって湿気にも強く、コストパフォーマンスの良いテープなのですが、唯一の難点と言えるのが、使いにくさです。梱包作業に慣れていればいいのですが、うまく扱えないとイライラするかもしれません。

まず、クラフトテープや布テープのように指ではなかなか切れないです。だから荷造りに梱包テープを使う際には、ハサミかカッターを持ち歩かなければいけません。薄いタイプのものだと変に切ってしまうとセロハンテープのように縦に細く裂けてしまうので、使う時にはテープに対して直角に切るようにするのがコツです。

テープカッターがあると便利ですが、テープカッターも使い方に多少のコツがいるので、やりながら慣れていくしかありません。さらにやっかいなのが使い終わった時にテープが巻き戻ってしまって切り口がぺったりくっついてしまった時です。

セロテープを使おうと思ったら切り口が見つからずにイライラした経験がある人も多いと思いますが、あんな感じになります。使い終わったらほんの少しテープの端を折り曲げて数ミリのつまめる部分を作っておくと、後のイライラから解放されますよ。

梱包テープの用途

基本的にオールマイティに使えるので、どのテープがいいのかわからない人や一種類で全てをすませたい人にはおすすめです。また、透明のものなら下の文字がそのまま見えるので、ダンボールにナンバリングしてある場合には重宝します。

養生テープ

養生テープはあえて粘着力を弱くしたテープです。ダンボールの組み立てには使えませんが、はがすことを前提に貼る時には絶大な威力を発揮しますので、引っ越しの際にはぜひ一つ用意したいものです。

養生テープの用途

プロの引越し業者は荷物の搬入、搬出する際に壁や床を傷つけないようにプラスチックダンボール、通称プラダンなどを壁に貼って保護します。その時にプラダンを止めているのが養生テープです。

あまり力を入れなくても楽にはがれるので、包丁など刃物をダンボールで挟む時には粘着力の弱い養生テープを使ったほうが安全です。また、自作のプラモデルやフィギュアをエアパッキン(プチプチ)でくるんで梱包するときも、万一大事なフィギュアにテープが触れても塗料がはがれにくく、梱包を外す時に細かい部品がもげてしまうという悲しい事故を防ぐこともできます。

テープの貼り方

基本的に軽いものはクラフトテープ、重いものは布テープ、その中間で「いいところどり」をしているのが梱包テープ、きれいにはがしたいなら養生テープという使い分けでいいと思いますが、それ以前に持ったら底が抜けるかもしれないと不安になるような重いダンボール箱を作らないことが大事です。

箱詰めをする段階で、軽いものは大きい箱に、重いものは小さい箱に入れるようにしてください。

ダンボールの底は十字に

ダンボールを組み立てたら底をテープで止めますが、その時、まず真ん中の合わせ目に縦に一本貼ります。この時、少し長めに10〜20センチ程度横面にはみ出させて貼りましょう。問題はここからです。良かれと思ってHの字型に全ての合わせ目にガムテープを貼る人がいますが、実はこれはあまりおすすめできません。

テープの使用量が多く不経済な割には強度もさほど強くなりませんし、何より底部分の端にべったりとテープを貼ってしまうと軍手をはめて搬入、搬出している時に滑って落とす危険性があります。

底にガムテープを貼るときは縦に一本、そしてそれに垂直に中央部分に横に貼るのが基本です。上からみると十字型になります。もし、それでも強度が心もとないと思ったら横のテープを中央から少しずらして二本、「キ」の字になるように貼ります。

それでも不安になるような重いものは一つのダンボールに入れてはいけません。二つ以上のダンボールに分けましょう。また、いくら正しくテープを貼っても、ダンボール自体の強度が落ちていては元も子もありません。ダンボールは湿気に弱く、一度でも水濡れしたものはたとえよく乾かしてあっても避けるようにしましょう。

正規の引越し業者であれば搬送中の事故に対応するような保険には入っていますが、自力で引っ越しをしようと思ったらそういった保証は一切ありません。すべて自己責任です。引っ越し業者にはらう料金には、リスク管理料も入っているのです。

どうしても自力で梱包をするのであれば、念には念を入れて作業をしましょう。ノートパソコンなど絶対に壊したくないものは、自分で運べる程度の大きさなら引っ越し荷物に入れずに自分で持っていくのが一番確実です。